前回の記事でオーロラを見るにはどの地域が良いのか、いつが良いのかお話ししました。
観光はさておきオーロラを見るのが最優先!という人にオススメなのが、オーロラ鑑賞率95%となっているイエローナイフ(カナダ・NWT)です。
そして極寒ではありますが、光がより見えやすい冬のイエローナイフをオススメします。
ところで、「イエローナイフって地名は聞いたことがないよ」という人も多くいるのではないでしょうか。
そこで、今日はそんなカナダの中でも知名度が低いイエローナイフの冬について、ご紹介したいと思います。
イエローナイフの冬は平均気温が(氷点下)−30.9℃です。
なんと最低気温は-51.2℃にまで下がることがあるとか。
北海道の最低気温を下回る寒さです。
真冬のイエローナイフは晴れていることも多く、雪が降る北海道と違い街全体が凍結している氷の街と行った印象です。
私がイエローナイフへ行った時には、昼間で−35℃でした。
ダウンタウンの中心部にある温度計です。
カナダはフランス語と英語の地域がありますが、イエローナイフは英語が主となっている街です。
しかし、カナダの中でもバンクーバーやカルガリーなどの都市と違い、日本訛りの英語は通じないことが多いです。
でも、観光客が多く訪れるお店では日本人英語でも分かってくれる店員さんが多くいますので、心配いりません。
このツルツルと凍結した街を歩くには、普通のスニーカーでは滑ります。
雪道や凍った道を歩けるようにできている冬用靴がオススメです。
私はティンバーランドのブーツで行きました。空港で脱ぎ履きは大変でしたが、街中では滑ることなく過ごすことができました。
冬のイエローナイフは日本の冬と違い、湿度のないカラカラの空気に囲まれた寒さです。
湿気がないという環境は、自身の体温を保持するのが難しい環境で、服装がとても重要になってきます。
日本の北海道旅行と同じような服装では、1時間と外に立っていられません。
日本で売られているダウンジャケットはイエローナイフでは秋の服装となります。
例えばあなたなら極寒地に行くのにどんな装備をしますか?
思いつくのは次のようなものではないでしょうか。
このどれも冬のイエローナイフでは危険な装備になります。
イエローナイフでは体温を保持するために湿気を放出する、そして汗をかかないことを心がけた服装選びが必要です。
では、それを意識しながら上記の服装ではどうなのかを見てみましょう。
これは日本で売られているダウンジャケットは、厚手でも−15℃程度まで耐えられるような製品がほとんどだからです。
極北と比べて暖かい日本ではそれほど防寒仕様のダウンを必要としていないためです。
−35℃で湿気のないイエローナイフの寒さに耐えられるものはないと言えるからです。
日本で手に入るダウンでは凍えてしまうかもしれません。
現地での購入またはレンタルが良いでしょう。
ヒートテックは汗を発散するという面では良いかもしれません。湿気のない極寒地では汗をかかない対策が必要だからです。
しかし非常に乾燥したイエローナイフで着ると皮膚が炎症を起こすことがあります。
皮膚の弱い人は避けた方が良いかもしれません。
寒さを防ぐには良いかもしれませんが、湿気(汗)がこもってしまうのでかえって冷える原因になってしまいます。
スノボ靴は靴の中でもある程度の運動をするようにできています。
歩くだけだったり、ただ立っているには防寒として十分ではありません。
冷え性の方にとって強い味方となるホッカイロですが、触れている部分から汗をかいてしまい冷えの原因となってしまいます。
極度の冷え性などで局所的に温めたいなどを除いては、オススメしません。
これは一言で言ってしまえば、現地で売られているものを買うということです。
しかし、現地で防寒着を購入して揃えると、軽く10万円は超えてしいます。
そこでオススメするのが、現地での防寒着レンタルです。
レンタル防寒着は街中のレンタルショップやオーロラ鑑賞ツアーに付属していることがありますので、ツアーの詳細を確認してみましょう。
防寒着レンタルは大体1万円〜3万円くらいでレンタルできるようです。(日数と業者で価格が異なる)
イエローナイフへ行くにはカナダ国内で乗り継ぎが必要になりますが、国内線は70席程度の小型機になるためチケットがなかなかとれません。
国内線はイエローナイフ在住者が都市の病院に行くためなどの生活手段として使われるたり、ツアー会社が残りの席を事前に抑えてあるため、個人旅行者が狙った飛行機のチケットをとるのが難しくなっています。
そしてせっかくチケットがとれても、天候が不安定な冬季のカナダでは飛行機の遅延がたびたびあります。
そんな時にパックツアーであれば全力でスケジュールを守ろうと頑張ってもらえることが大きいです。
また、現地でオーロラを見るために宿泊しているダウンタウンから郊外へ出る必要がありますので、ほとんどの人が現地でのオーロラツアーに参加することになります。
現地でレンタカーという発想があるかもしれませんが、ダウンタウンを離れた真っ暗な荒野の−35℃の世界でエンストをしても誰も助けてくれません。
携帯も圏外になることが多く、助けを求められない中レンタカーの中で凍死という危険だってあります。
また地図も発達していないので、うっかりと知らない人の私有地に入りこむ心配もあります。
普段の旅で秘境好きな人でも、極寒のイエローナイフではオーロラ鑑賞ツアーに参加することをオススメします。
パックツアーは最初からオーロラツアーと防寒着がセットになっている商品がほとんどなので、トータル的な価格面でもパックツアーの方がリーズナブルとなっていることが多いです。
どのホテルがオススメなのかは、小さなイエローナイフでオーロラ鑑賞の時間以外をどう過ごしたいかで変わります。
私が宿泊したホテルはエクスプローラーホテルでした。
エクスプローラーホテルは、各旅行会社のツアーでホテルのグレードがAクラスと良好だったので選択しました。
実際に行ってみて感じたことは、ホテルの設備とダウンタウンでのアクセスの良さは関係ないこと。
エクスプローラーホテルは夜でもシャワーのお湯がたっぷりと出たり、室内はキチンと清掃されていたりと快適でしたが、ショッピングへ出かけるには少し遠く感じました。
今は新しいホテルもできているので、ツアーで選ぼうと考えているホテルの立地や設備などをインターネットで検索してから申し込むのも良いですね。
私がよく利用するのは、トリップアドバイザーの口コミです。
イエローナイフへ訪れる日本人は少ないので、日本語で書かれている情報では情報量が少なかったため、世界中の旅行者が口コミを投稿しているトリップアドバイザーが便利でした。
気になるホテルがあったら、口コミを確認することをオススメします。
パックツアーについている防寒着は、ほとんどが人気のカナダグースです。
私たちが利用したパックツアーにはオーロラビレッジでのオーロラ鑑賞ツアーと防寒着などがセットになっていました。
ホテルにチェックインをし入ってみると、ベッドの上にカナダグースの防寒着が用意されていました。
宿泊したホテルはエクスプローラーホテルです。
室内はきちんと清掃されていて、清潔感のあるホテルでした。
到着した日は極寒地というものを分かっていなかったため「東京で一番冷え込む日に着ても暑いアウトドア用のダウンジャケット」を着て買い出しに出かけましたが、數十分と外にいられませんでした。
翌日からは日中もカナダグースを着て出かけてました。
それくらい現地の防寒着は実用的となっています。
冬のオーロラ鑑賞は、21:00頃にホテルを出発し、30分ほどバスに揺られて鑑賞地に向かいます。
そして鑑賞地で25:00頃まで鑑賞し、またバスでホテルへ帰ります。
1:30 | ホテル帰り |
3:00 | 入浴し就寝 |
(sunrise) | 冬季は9:00〜10:00頃 |
10:00 | 起床 |
12:00 | 観光やアクティビティに出発 |
(sunset) | 冬季は15:00前後。 15:30には真っ暗です |
17:00 | 夕食 |
21:00 | ホテル出発 |
21:30 | オーロラ鑑賞 開始 |
25:00 | 鑑賞地出発 |
25:30 | ホテル帰着 |
このようなタイムスケジュールが一般的です。
アクティビティや観光をできる時間は、意外と短いです。
ホテルにレストランが併設されているところもありますが、大きなホテルが少ないためダウンタウンの個人店を利用することが多いかと思います。
私が宿泊したエクスプローラーホテルは近くにドラッグストアがあり、そこで朝食用のマフィンやヨーグルトを購入していました。
スプーンなどのカトラリーを持って行かなかったので、ここで購入しました。
またカナダはビニールの袋が有料なので、エコバックを持って行くと便利です。
オールドタウンやダウンタウンの端まで観光するには、徒歩では厳しいです。
道に迷ったら遭難や凍死するのではないかという不安がついてまわります。
私はパックツアーに最初から組み込まれていましたが、現地で申し込む観光客も多かったです。
その時々で市内観光で訪れる場所は違うと思いますが、暖かいバスで巡る市内観光なら遭難や凍死の心配もなく安心ですね。
私はしませんでしたが、極寒の地ならではのアクティビティも挑戦できます。
どれも個人では難しいので、現地のツアーに申し込む必要があります。
極北地ならではのアクティビティを楽しむのも貴重な体験となりそうですね。
オーロラ鑑賞を行なっている現地ツアーなどもありますが、初心者はオーロラビレッジでの鑑賞パックがオススメです。
はい、オススメです。
オーロラビレッジは極寒地に慣れていないけれど自分たちだけで鑑賞したい人には圧倒的に便利です。
何組かのグループごとに休憩できるティーピー(原住民の住居だったテントを再現したもの)が用意されていて、暖炉のそばでホットコーヒーやお茶・紅茶・ココアなどが飲めます。
上の写真右側に写っているスキーウェアのお二人は北海道から参加したお客さんですが、北海道と同じ服装で参加したら寒くて外へ出られず、ほとんどオーロラを見ることができなかったそうです。
日本の寒さとは全然違いますので、現地用の防寒対策を必ずしましょう!
また、センターキャビンには温かい休憩室やトイレが完備されていて、無料でスープを飲むことができます。
コーヒーだけでは体の中から温まらないので、このスープは大変ありがたかったです。
ビレッジ内はいくつかのエリアに分かれていて、好きな場所で鑑賞したり写真撮影をしたりできます。
街灯がなく舗装されていない通路は、足元をほのかなライトで写真撮影の邪魔にならないように灯しているため転倒や道に迷う心配がないところもオススメなポイントです。
ここは、私のお気に入りポイント。
湖なのですが、厚い氷で覆われていて、一面広場になっている場所。
ここはティーピーの前にありながら平らで見通しもよく写真撮影もしやすい場所でした。
私はオーロラビレッジで鑑賞して大変満足しています。
私が持って行って良かったもの、持って行けば良かったと思ったものをご紹介します。
乾燥しているのでお風呂に入浴剤を入れて温まりました。
海外は風呂釜がないので、泡風呂も楽しめます。
顔の霜焼けや凍傷を防いだり、気管支を寒気から守るのに重宝しました。
耳が出ていると霜焼けや凍傷になってしまいます。また帽子なしでは寒くて耐えられません。
屋外でオーロラを撮影した後に室内へ持ち込むとカメラ内が結露してしまいます。
ジプロックで温度差を少なくすることで結露を防ぐことができます。
グランドキャニオンやモニュメントバレーとは違いiPhoneではすべてのオーロラを撮ることはできません。
明るいオーロラであれば撮影できるかもしれませんが、厚手の手袋をはめて撮影することを考えるとスマホは避けた方が良いでしょう。
また、スマホの画面が光ることで周囲から苦情が出ることがありますので、液晶のon/offやピント・開放時間などを手動で指定できる一眼レフカメラを用意しましょう。
オーロラはとても弱い光です。
撮影するためにはカメラのレンズを10秒〜90秒ほど開放することがありますので、手振れ防止のためにも三脚は必須です。
最近は省スペース型の三脚も増えましたが、設置する場所がデコボコなので従来の広くひろげる三脚がオススメです。
手袋をした手でシャッターを押すとカメラがブレてしまうことがあります。
できればレリーズで操作することをオススメします。
空気が乾燥している上に暖房が入っているので肌が乾燥します。
乾燥は美肌の大敵ですので、寝る前に保湿パックをすると次の日に調子が良かったです。
保湿した後は水分が逃げないようにニベアで蓋をしてあげると保湿効果が長持ちします。
ドラッグストアで朝食用にヨーグルトなどを買って食べる時に必要でした。
売られている使い捨ては大量に入ったものなので、少量を日本から持って行くと良いでしょう。
カナダはビニール袋が有料のため、エコバックを持っていると良いです。
私は東京の冬に使っていたカシミアの手袋を持って行きましたが、ドラッグストアの入り口にあった金属製の取手を触ったら穴が開いてしまいました。
薄手のニットは避けた方が良さそうです。
イエローナイフへオーロラを見に行くことを検討しているなら、日本からパックツアーに申し込むのが割安です。
極寒地は想像を超えるものがあります。
周到に準備をされた場所で安全に鑑賞することが、オーロラ鑑賞を成功させる秘訣でもあります。
あなたもパックツアーでイエローナイフへ出かけ、神秘の光・オーロラをその眼で見てみませんか?
冬のイエローナイフはオーロラを待っている間に空を見上げると、満天の星空に出会えます。
空気が冷たく澄んでいるので、無数の星が輝いていて素晴らしい星空です。
ぜひ星空も見てみてください。