最近、街を歩いていたりテレビをつけた時に、よく耳にする曲があります。
どこか切なく甘い声。耳に残るメロディ。
「誰の曲だろう?」
私は気になって、その声の持ち主を調べてみました。
今は便利なアプリがあるもので、流れてくる曲をiPhoneに聞かせたら、すぐに曲名とアーティストを教えてくれるのです。
早速iPhoneで調べます。
iPhoneに表示されたそのアーティスト名はブルーノ マーズ(Bruno Mars)さん、曲名は、”Too Good,To Say Goodbye”でした。
アーティストと曲タイトルが分かったので、早速amazonで検索し、Too Good,To Say Goodbyeが収録されているアルバム「24K Magic」をポチッとしました。
このアルバムは2016年11月に発売されたもので、最近のアルバムと言えるほど新しいものではありません。
しかし、洋楽が好きな人にはもちろんのこと洋楽初心者にもオススメできる素晴らしい作品となっているので、ぜひこのアルバムについて知って欲しくて、今更ではありますが記事にしたいと思います。
日本にもリズムパターンはいろいろありますが、米国には特に多くのリズムパターンが存在します。
これは、米国の歴史そのものが音楽の歴史と言っても差し支えないほど、アメリカ人と音楽の歴史が複雑に関係しているからかもしれません。
もともとアメリカでは「音楽」というと、祈りのためのものか、踊るためのものでした。
ジャズや宗教音楽に始まり、アメリカの音楽は多様な進化を歩みました。
ジャズ・ブルース・ソウルやニューオーリンズジャズ、またポップス・ロックにディスコ・ヒップホップそしてゴスペルなどなど。
これらが世界音楽の原点と言っても良いのではないでしょうか。
ところで、アメリカにはグラミー賞という1959年から続く伝統的な音楽の祭典があるのをご存じですか?
グラミー賞は「グラモフォン・アワード」(グラモフォンは蓄音機の意)という名前で始まった世界最高峰の音楽賞で、中には米国由来のカントリー楽曲などに特化した賞などもあるようです。
またあまり知られていませんが、過去には小澤征爾さん・坂本龍一さん・松本孝弘さんなどの日本人も受賞しています。
このように音楽に差別という概念を持ち込まず、すべての音楽を分け隔てなく評価するところが、米国音楽の素晴らしいポイントだと感じます。
さて、今回ご紹介したいBruno Mars(ブルーノマーズ)さんは、なんと2018年にそのグラミー賞でに7冠を受賞しているのです。ヒップホップを中心にソウル・ファンク・ラップなど、幅広い音楽を聴かせてくれるアーティストです。
当記事でご紹介する「24K Magic」は、そんなブルーノマーズの作品の中でも、これまでで最高と言える一枚。ベーシックなリズムパターンに心地よい効果を加えたリズムが特徴となっています。
ヒップホップでは、よくバスドラムの16分音符連打が効果的に使われますが、ブルーノマーズの曲ではシンプルなバスドラムパターンが多く用いられています。
これは、楽曲の中で歌を大切に聴かせることで、自分のスタイルを確立しているからではないでしょうか。
アルバムでは、ゆったりとしたテンポの曲でも、しっかりとビートを感じることができ、聴いていて飽きることがありません。
収録されている楽曲にもいろいろな細工が施されています。その中でとても印象的だったのは、ゆったりしたバラードでキーボードのトレモロがリズムを刻みビートをつないでいた点です。
ドラムではなく、音の長いキーボードを使ってゆらぎを作る手法は、とても斬新に感じられます。
どの曲でその手法を聴けるのかは、聴いてみてのお楽しみ。ぜひアルバムをじっくり聴いてみてください。
アルバムでベースとなっている主なリズムはファンクやヒップホップですが、流行のゴスペル調リズムも織り交ぜられていて楽しいですよ。
決して単調にならず、バラエティ豊かなリズムがたっぷり詰まったアルバムです。
一言で「声」と言っても、いろいろな声がありますよね。あなたはどんな声が好きですか?
多くの人があげるのは「歌の上手な歌手」の声ではないでしょうか。
歌が上手な人は、魅力的な声を持っていることが多く、その声はあこがれの的になることも。
歌のうまい人は、自身が持つ魅力的な声を上手に操ることで、さらに素晴らしい歌声を出しています。
「声を操る」ということは、実は声帯だけではなく、口腔・鼻腔・舌という声の通り道の全てを操ることなのです。
その視点で見ても、ブルーノマーズは素晴らしい技法で見事に声を操っています。
アルバムでは、しっとりとバラードを聴かせたかと思うと、次の曲では速いテンポのラップでマシンガンのように声とリズムで聴く者を圧倒。
まさに、歌手というよりもボイスプレイヤー。彼が声による「演奏者」であり「表現者」であることがよく分かるでしょう。
歌声をしっかり楽しめるようになのか、他の演奏トラックと音質がかぶらないようなアレンジにも注目です。
また、随所にちりばめられたソロとハーモニーのバランスがなんとも言えないほど見事です。
「メロディと同じ歌詞を別メロディで歌う」「ロングトーンの音を重ねる」など王道の手法も楽しめます。そしてそれらが適度に使い分けられた歌声となっており、次から次へと畳み込むドラマチックな歌声に出会えます。
アルバムでは、無駄な音がなく、削るところは潔くバッサリ削られている印象です。
そのため音のメリハリを感じやすく、じっくり聴いても聞き流しても、そのサウンドは心地よく感じられます。
彼のデビュー作「Doo-Wops & Hooligans」に比べ、「24K Magic」ではこの音作りがとても進化しているのではないでしょうか。
ひとつひとつの音の分離がキレイで、それぞれのパートの聞き分けがしやすく、すべての音とパートに意味を持たせられていると思います。
この様な曲作りは、「エリック・クラプトン」や「マイケル・ジャクソン」・「クインシー・ジョーンズ」と似ているように感じました。
アルバムでは複雑な音色や、種類豊富な効果音が含まれており圧倒されますが、実際には数人のバンド編成で演奏できるアレンジで最大限の効果を引き出しているようです。この努力には感心しました。
それほどシンプルな曲をバラエティ豊かに聴かせる工夫と音響効果が出せるのも、数曲で構成されたアルバムだからかもしれませんね。
また、私は、疲れた日にはあまりヒップホップを聞きたくありません。なんだか聴くだけでもエネルギーが要りそうですから。
でも、このアルバム「24K Magic」は、ヒップホップの要素が詰まっているにも関わらず、とても心地よく疲れた心を癒やしてくれます。
癒やしてくれる曲って、案外ジャンルの影響を受けないものなのかもしれません。
この「24K Magic」は、どのようなシーンにも合う、完成度の高いアルバムだと思います。
いろいろなシーンであなたに寄り添ってくれるアルバムになってくれるでしょう。
私がアルバムの中で一番気に入っている曲は「Too Good to Say Goodbye」です。
歌詞は少し切ないですが、「ボーカル」「演奏」「ハーモニー」のすべてが調和した美しい曲です。
アラフィフ主婦には、眩しくて遠い時間。鼻の奥がツンとしちゃうような曲。
「Too Good to Say Goodbye・・・」なんてあんな声で言われたら泣きます。
歌詞の二人に何があったのかは分かりませんが、私なら許して戻るかも(笑)
ぜひ、ブルーノ マーズ(Bruno Mars)の話題作「24K Magic」を聴いてみてください。
そして、このアルバムの素晴らしさを感じてもらえたら嬉しいです。
amazonで視聴してみる→ブルーノマーズ(Bruno Mars) 24K Magic